『ブライド・スター』に想う

Bright Star poster

ネタバレあります。

ついに日本でも『ブライト・スター』が公開になった。いくつかの批評を拝見したけれど、ジェーン・カンピオン監督が『The Piano』で見せたミステリアスな大人の官能美、またベン・ウィショーの『パフューム』での怪演?などが脳裏に焼きついてる人には、今回の映画は物足りないものに映ったようだ。私も、毒ッ気オーラ(いい意味での♪)を
いくらでも撒けるベンが彼にしては珍しい、この純愛作品を選んだ理由はなんだろう…って考えるとジョン・キーツを演じたかったから?あのジェーン・カンピオン監督だから?なのだけど、きっと、よくあるような単なるお涙頂戴恋愛物だったら、彼は絶対に興味を持たなかっただろうなあと思う。…私の想像。

ストーリーよりもヴィジュアル先行かという感じで、とにかく、何よりもキャンピオン監督が頭に描く、この角度で!この光で!俳優を絵の中に置きたい!…っていうようなこだわりが随所に見て取れる。時にはちょっとあざといぐらいに。でも、それらのシーンは文句なく美しく、映像の流れの中でフッと浮かびあがる…そう、小説の中の挿絵のように。そんな絵の中で、いつもとは全く違う表情を見せるベン・ウィショーを見るのも、私にとってはまた格別。…樹の上での昼寝…初めてファニーの手に触れるクリスマスの夜…などなど…。

と、同時にリハーサルの延長かとも思われるような、メリハリのないシーンが続いたりする。でも、この実話をもとにしたストーリーの主題は『初恋』である。私は自分の初恋に置き換えて考えたみた。。。初恋って、なんだかジワジワ、ソワソワ、そんな感じだったと思うのだ。何もできずに、相手を思う時間だけがゆっくりほんわり過ぎていく…みたいな。私はそうだったな。そんな気持ちを思い出しつつ、この映画での時間の流れを重ね合わせていくと、なんだかとてもシックリとくるように思えた。

この映画は観る側に対して想像力を要求する物語かな…と思う。悪く言えば、あんまり親切でない脚本。余計な説明がまるでない。たとえば、キーツは医者になる道もあったのに、詩という果てしなく安定性のない道を選び、魂をそそぐ彼の情熱や、最後にイタリア療養の費用を工面してもらうくらい、周りの芸術家仲間にとても愛されていたらしいキーツの人間性など、彼の内面を多少なりとも見られたら…と、思った。そのあたりの説明とかが少しあったら、ストーリーにも多少起伏ができたのではないだろうか。まあ、ベンをもっと見たかった…ということなのだけど(笑)。

それとは反対にっ、ちょっと話はそれるのだか…この映画のオープニングシーン。針の穴に糸を通す、布に針を突き刺す…『これって、すっごい性的比喩だ』…と思っちゃったのだけど、考えすぎだろうか。初めて観たとき、いきなりそんなシーンから始まったものだから、『The Piano』なみの官能映画を期待してしまった。はっきり言ってこのシーンが一番エロいんじゃなかったかと後になって思ったりした(笑)たはっ。

いろいろ思うところはあるけれど、今のベン(撮影当時27歳)にしかできなかった作品だととても感じるし、彼がこの作品を選んでくれたことをありがたく感じる。後にも先にも、こんな純恋愛ものでの、ベンはもう見られないんじゃないかな…なんて思うから…。

そして、私はこのDVDを観るたびに、いつもウルウルしてしまうのであった…。実は☆


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Comment

ご賛同ありがとうー☆

オープニングシーンの比喩について…ちょっと勇気を持って書いてみました。
受け皿になって同感していただいて有難うございますっ!
あの大写しの官能的テンションが、もっと随所で見られたらよかったのになーと思います。

ついでに言うと、最初の糸が針穴を通ってくるところ、一筋の星の光のようにも見えませんでしたか?まさに『ブライト・スター』の光にひっかけたかな、カンピオン監督…なんて。

ファニーのひと針ひと針の作業とか、キーツが詩に注ぎ込むひと言ひと言とか、すべてを実感しながら、その一瞬に生きる…そういうたたみ込むような時の流れを『ブライト・スター』から感じます☆

素敵なブライト評 *

ベンと作品に対する私自身の入り乱れた複雑な気持ちを代弁していただいたかのよう ☆

カンヌの記者会見でカンピオン監督は「冒頭、白っぽい服を縫っていたファニーが最後は喪服を縫う。キーツが詩をつむぐようにファニーは刺繍糸であやをつむぐ、みたいな対比は考えた」と言っていたし、どなたか日本の方のレビューには「ファニーが布にひと針ひと針糸を通すのがとても痛々しいメタファーのように感じた。病気のキーツを愛するということは、キーツの病にある意味鞭打つような部分もあり、でもそれだから、針を通されたキーツも美しい詩が編める・・・」みたいなのを見ました。

う~む。みなさん読みが深いですね。
そういえばはーやさんのおっしゃる冒頭=エロチック。私もそう感じた瞬間がこれまでDVDも含め何度もみているときに一度や二度はあったような気がします。そしてそれがキーツとファニーの別れのシーンを思うととても残酷なほどのメタファーに感じないでもありません。

結局最後まで肉体的に結ばれることもなく、ただお互いを触れて感じ合い、次の日の別れの瞬間にはひと言も交わさず、後ろも振り返らず、キーツを後ろにありありと感じながら去るファニー。。。なんとも痛々しかった。

その抽象的な別れと、冒頭のわかり易すぎる具体的な針に糸をとおすシーン。
これが意図的に考えられた対比だとしたら、他の90%の凡庸なドラマの流れや演出(失礼)をおいても、ジェーン・カンピオンに脚本賞をあげたい。

長くなってご免なさい。まとめきれなかった私の気持ちが少し輪郭づいてきました。

はーやさんの感想からは
ベンと、キーツと、この映画に対する心からの愛を感じました。
私ももう一回自分自身で気持ちをまとめてみようと思います。

ありがとう、はーやさん ♪♪

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