ベン・ウィショー 『・・・Some Trace of Her』

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ドストエフスキーの『白痴』をもとに脚本&演出家のKetie Mitchellが舞台化。
2008年7月~10月にかけてロンドンのNational Theatreにて上演され、Benは
主役のムイシュキン公爵を演じた。

当時私にとってBenは、依然として『Pinguの人』という印象しかなかったのであるが
(しかし、ベンはすでに英国では最年少で舞台Hamletの主役を演じていたという
とんでもない大物であったのだ)ひょんなことから、この芝居の紹介番組をBBCで観て
『え~、これまさかPinguなの!?☆』という胸騒ぎがザワザワ☆ザワワワ☆
『私はPinguに堕ちるかも~』という思いとともに、『白痴』の内容を全く把握せぬまま、
後日National Theatreへ。

当日会場に入ると、舞台上では何やらまだ大道具のセッティングの最中のような光景。
で、よーく見ると舞台上に黒いTシャツを着たPingu=ベンが他のスタッフと
立ち話をしている。。。。実はこの舞台、二重、三重に仕掛けがあって、役者は全員、
舞台上で使用されるビデオカメラなどを操作するスタッフでもあり、そのスタッフ
としての役名もある…という設定。なので本編の芝居が始まる前から、舞台上では
芝居が始まっていたのであります。大道具、小道具なども舞台上で
全てむき出し状態で、実際の演技のシーンは、その舞台上方の大スクリーンに、
カット割り、アングルなども精密に、時には数台のビデオカメラからの画面が細切れに
編集され、リアルタイムで、映し出されていく。ミスの許されない極限状態の中で
出演者のみならず、観客も、そのライブ感をハラハラしながら経験するという
超エンターテイメント。

で、ベン君。芝居が始まる瞬間に、例のスタッフTシャツをサッと脱ぎ捨て、真っ白の
ふんわりとしたシャツに着替え、のっけから舞台中央でムイシュキン公爵に変身、
と同時に彼の欲望を吐き出すかのような独白のナレーションとともに、大スクリーンに
ムイシュキン・ベンが大写しに。その後は、舞台上のすべてむき出し状態の中での生の
芝居、そのケオティックな背景を全くよそに、頭上スクリーンでは、フィルム割りも
麗しく、淡々としたデカダンなムードの、古い無声映画のようなモノクロ映像が繰り
広げられる…というリアルタイム競演が続き、息つく暇なし。

きちんとしたストーリー性のある正統派の芝居を観たいという演劇ファンには、ちょっと
不満の残る作品だという声があったようですが、演劇という枠を超えてマルチメディアを
駆使した知性溢れるエンターテイメントを創造するKatie Mitchellの才能には本当に
脱帽。と同時に、そんな素敵な作品で主役を演じる、ベン・ウィショーを
見ることが出来たという点でも私には大発見&大満足の作品でした。
『白痴』のストーリーを前もって知っていたら…というのが、とても悔やまれますが、
役柄を通して、ベンの持つ個性…イノセンス(大人の男であるベンに対して、こう
評するのもなんですが、彼に欠かせない表現のひとつかな)透明感溢れる繊細な
存在感は、充分伝わってきました。

そして、この日をさかいに私は、ベンに腰砕けになっていくのでありました…。

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Comment

うららさん

そうでしたか、最初はナスターシャだけという予定だったのですね。でも、あのワイダ監督の見せ方は面白かったですよね。見事に舞台風の演劇と映像の融合でしたね。確かに玉三郎のムイシュキンは、どこか足が地についてない浮遊感、悪くいうと無垢でバカっぽいって感じが出てました。

ベンのムイシュキンは無垢だけど、どこかクールな悩める青年って感じだったかな。本当にもっとバカっぽくてもよかったかも(笑)でも、あの舞台は演技とうよりもビジュアルでどう見せるかという部分が大きかった気もするので、もしもっとセリフ劇的な要素があったら違う見せ方になっていたのでしょうね。

またまた失礼・・・

ベンと玉三郎と言ったらこれを忘れてはいけない!

二人ともムイシュキンを演じたわけですが、NHK BSの番組『ザ☆スター』で、かのアンジェイ・ワイダ監督の『ナスターシャ』の二役が誕生する秘話もやっていて、感動的でした。最初は玉三郎本人もナスターシャだけのつもりでいたのに、当然のように監督から「ムイシュキンもちょっとやってみて」と言われて「40分ください」と言ったら「一瞬でやって」ということになり、短髪のままショールに耳飾りだけでさっきまでムイシュキンだったのが一瞬にしてナスターシャ ♪ というマジックが生まれたのだそう。。。

ベンのムイシュキンも、Idiot = 白痴という感じは出てはいましたが、私の持っているイメージには断然、玉三郎の方が近かったのです。本当に“馬鹿”っぽかったの、玉三郎・・・!ナスターシャの謎めいた女役との対比もまんまと納得させられてしまうほど。。。☆
すごい演技というかまさに“至芸”だと思わされたのです。

それに比べてベンは無垢というか、透明感は溢れていたけど、地のまま?って感じでした。もっと主役をフィーチャーする演出だったら違うものになったのだろうとは思いますが、まあ、あれはあれで一つのヴァージョンですね。。。

いやあ、何かと共通点の多い二人。
世界の監督や振付家やダンサーが共演したいと放ってはおかない玉三郎。いまや自分も演出や、新人発掘も当たり前の円熟期。

ベンもこれから仕事にどういう広がりを見せていくのか楽しみです、本当に・・・!

(久々に興奮しちゃって。。。長々とお邪魔しました)

♪♪♪

なんてことだ!書くの忘れてた。。。『生弦楽演奏』…この記録を書きながらも、あの渋いつまびき弦楽四重奏の(ような)音が、頭の中で鳴り響いたおりました。あの演奏が本当に舞台にマッチしてましたね♪

あんなに舞台上はケオティックなのに、うららさんおっしゃるように『ロシア文学の持つ深い森のような重厚な作り』が最初から最後まで完璧に表現されていたと思います。まあ、あんまりロシア文学知らないのですけどっ(笑)
あー、また観たいっ!

私が実際に舞台を観たのは2008年10月16日でした。紹介番組を観てから、気持ちはザワザワしつつも、その約三ヶ月後。当時、色々忙しくもあり、本当に観に行けるのかなーと自分でも半信半疑だったのですが、それが、こんなにも運命を変えるなんて。。。きゃは。

何たる偶然!

なんて奇遇なんでしょう☆

私ちょうど舞台の情報誌『シアターガイド』2008年8月号をぺらぺら見ていたところだったんです!そしたら ・・・Some Trace of Her が巻末のロンドンのウエストエンド情報に載っていて・・・(もっとも、邦題に変えられて『彼女の面影』というちょっとのっぺりしたニュアンスに。。。悲)

私はこの舞台、千秋楽の前の晩(10月20日)にみたのですが、はーやさんは夏みたのですか?私がみたときは黒いスタッフTシャツじゃなくて、ちょっとグレーっぽいダンガリーシャツみたいのでした。ベンに似合ってました。。。

そして、そして・・・
あの白いシャツ ♪ ですよね!!!
何なんでしょう?あれを見たときの ときめき は?

似合いすぎる~☆
ナスターシャと「こと」が終わって(いや完遂できなくて・・・?)薄い胸板(でもキレイ♪)を出しながらあの白い麻っぽいブラウスシャツを着る優雅なベンの身のこなし。。。ああ、思い出す・・・ゥゥゥ

私が見にいく決心がついたのは、YouTube にあの舞台のトレーラーが流れていたのがきっかけでした。その後関連記事をごっそりあさり、他の二つのそのはーやさんがみたというBBCの紹介番組らしいクリップもYouTubeで見て、即ナショナル・シアターのチケットセンターにアクセスしました!!

あの舞台、本当にキレイでしたね。
ロンドンの最先端のセンスと、ロシア文学の持つ深い森のような重厚さ、そしてこれはケイティの一番の狙いだったであろう、タルコフスキーのような決めに決めた計算し尽された構図の白黒スクリーン画面☆

ライティングや役者が作り出す効果音。生弦楽演奏のゆっくりしたチェロのつまびき(ピチカート)も本当にソフィスティケートされてました ☆*♪!

でもやっぱりベン!
きびきびした裏方からすぐに椅子に座って愁い100%のムイシュキン!
目が離せませんでした ♪♪♪

またトレーラー見たくなりました ♪

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